【ビジネス実務マナー検定】 相手の状況を的確に判断し適切な表現で指示を伝える
第64回 ビジネス実務マナー検定2級(必要とされる資質)より
【問題】
本社人事課の神田正悟は来春入社内定者の一人から,「今日の研修時に提出する書類を現在作成中で,10時からの内定者研修に1時間ほど遅れる」という電話を受けた。今日の研修には来春入社が内定している者全員に出席してもらうことになっているが,書類の提出日は便宜上今日にしただけである。このような場合神田は,この内定者にどのように言うのがよいか。次の中から適当と思われるもの一つを選びなさい。
(1)「遅れる理由は分かりましたが,なるべく早く出席できるように最善を尽くしてください」
(2)「書類の作成は研修後にこちらも相談に乗りますので,時間に遅れないように出席してください」
(3)「研修は時間厳守です。書類の提出は後になってもやむを得ませんので開始時間には出席してくださ
い」
(4)「もう社会人になるのですから,このような場合どのようにすべきなのかよく考えてご自分で判断し
てください」
(5)「間に合うように作成しなかった理由を改めて研修会場でお聞きしますので,時間には出席してくだ
さい」
(1)「遅れる理由は分かりましたが,なるべく早く出席できるように最善を尽くしてください」
(2)「書類の作成は研修後にこちらも相談に乗りますので,時間に遅れないように出席してください」
(3)「研修は時間厳守です。書類の提出は後になってもやむを得ませんので開始時間には出席してくださ
い」
(4)「もう社会人になるのですから,このような場合どのようにすべきなのかよく考えてご自分で判断し
てください」
(5)「間に合うように作成しなかった理由を改めて研修会場でお聞きしますので,時間には出席してくだ
さい」
【解説】
ビジネスの現場における的確な判断力と適切な表現力を問う問題です。提出書類の作成に時間がかかり、参加が必須の内定者研修に遅刻すると電話をしてきた入社内定者に対し、連絡を受けた人事課の神田は、適切な対応をしながら相手の間違いを正さなくてはいけません。
本来ならば、研修の開始時間も書類の提出期限もどちらも守るべきことですが、この内定者はまだ、社会人になる自覚が足りないようです。さらに、研修の開始時間より書類の提出期限を優先するという判断ミスをしています。この考え違いをどのような表現で正せばよいかが問われています。
適当は(3)。正答率は44.7%と低い結果でした。仕事が二つあり、どちらかを優先しなければならない場合には、厳密な期限がある方を優先するのが常識です。今回は、開始時間が決まっている研修を優先すべきです。内定者全員が出席しなくてはいけない研修であり、時間厳守で参加するのは当然のことです。
また、神田は書類の提出期限が便宜上であると知っていますが、内定者には書類の提出期限を守る重要性も意識させたいところ。そこで、遅れて書類を提出するよう指示する際に「やむを得ない」という表現で、本来ならば提出が遅れるのは良くないことだと伝えているのです。
では、他の選択肢も見てみましょう。
(1)は、研修に遅れないように来てほしいのに「なるべく早く」と表現しています。これでは書類作成を優先し、研修にも遅刻してよいと言っているようなものなので不適当です。
(2)と答えた受験者は48.6%と(3)よりも多くいました。時間に遅れないように伝えているのは良いですが、「相談に乗ります」のような不明確な発言があります。期限の延長については「明日までに提出してください」「速達で○日着で郵送してください」など、人事課としての要求を明確に伝えるだけでよいのです。「1時間ほど遅れる」という相手の発言から、あと少しで書類が出来上がることが分かるのですから、相談に乗るようなことではないはずです。
(4)では、すでに判断を間違えた相手に対し、自分で考えるよう促しています。この場合は具体的に教えてあげないといけません。
(5)時間通りに出席するよう伝えるのは良いですが、書類の作成が間に合わなかった理由など聞いても仕方がありません。会場で改めて理由を聞くなど、いたずらにプレッシャーを与えるような発言はするべきではありません。
ご指導においては、選択肢の表現とそれが示している内容の違いを厳密に捉えさせることが大切です。(2)、(4)、(5)は、“時間厳守”という重要事項は伝えているものの、表現に違いがあります。それぞれどのように違うのか、学生・生徒同士で話し合わせるのも効果的です。
常識に裏打ちされた的確な判断力とそれを適切に伝えるための表現力の重要性を伝えていただきたいです。 (『就職指導ニュースvol.53』より)
本来ならば、研修の開始時間も書類の提出期限もどちらも守るべきことですが、この内定者はまだ、社会人になる自覚が足りないようです。さらに、研修の開始時間より書類の提出期限を優先するという判断ミスをしています。この考え違いをどのような表現で正せばよいかが問われています。
適当は(3)。正答率は44.7%と低い結果でした。仕事が二つあり、どちらかを優先しなければならない場合には、厳密な期限がある方を優先するのが常識です。今回は、開始時間が決まっている研修を優先すべきです。内定者全員が出席しなくてはいけない研修であり、時間厳守で参加するのは当然のことです。
また、神田は書類の提出期限が便宜上であると知っていますが、内定者には書類の提出期限を守る重要性も意識させたいところ。そこで、遅れて書類を提出するよう指示する際に「やむを得ない」という表現で、本来ならば提出が遅れるのは良くないことだと伝えているのです。
では、他の選択肢も見てみましょう。
(1)は、研修に遅れないように来てほしいのに「なるべく早く」と表現しています。これでは書類作成を優先し、研修にも遅刻してよいと言っているようなものなので不適当です。
(2)と答えた受験者は48.6%と(3)よりも多くいました。時間に遅れないように伝えているのは良いですが、「相談に乗ります」のような不明確な発言があります。期限の延長については「明日までに提出してください」「速達で○日着で郵送してください」など、人事課としての要求を明確に伝えるだけでよいのです。「1時間ほど遅れる」という相手の発言から、あと少しで書類が出来上がることが分かるのですから、相談に乗るようなことではないはずです。
(4)では、すでに判断を間違えた相手に対し、自分で考えるよう促しています。この場合は具体的に教えてあげないといけません。
(5)時間通りに出席するよう伝えるのは良いですが、書類の作成が間に合わなかった理由など聞いても仕方がありません。会場で改めて理由を聞くなど、いたずらにプレッシャーを与えるような発言はするべきではありません。
ご指導においては、選択肢の表現とそれが示している内容の違いを厳密に捉えさせることが大切です。(2)、(4)、(5)は、“時間厳守”という重要事項は伝えているものの、表現に違いがあります。それぞれどのように違うのか、学生・生徒同士で話し合わせるのも効果的です。
常識に裏打ちされた的確な判断力とそれを適切に伝えるための表現力の重要性を伝えていただきたいです。 (『就職指導ニュースvol.53』より)