【サービス接遇検定】 お客さまの目的に合わせたスタッフの役割を理解する

第48回 サービス接遇検定2級(サービススタッフの資質)

【問題】

Q.吉沢さやかは、スイミングスクールで成人コースのインストラクターをしている。次は吉沢がスクール生に言ったことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。

1)続けられるか不安という初心者に、最初は誰も同じだが雰囲気に慣れて仲間ができれば大丈夫と言った。
2)シェイプアップのためという人に、レッスン中は自分も手伝えるがそれ以外の時間の過ごし方も重要では
  と言った。
3)レッスンのときより終わった後のおしゃべりの方が楽しそうな人に、いろんな楽しみがあってうらやまし
  いと言った。
4)しばらく休んでいて久しぶりにレッスンに来た人に、みんな心配していたが元気そうで安心した。またよ
  ろしくと言った。
5)他の人より上達が遅いときにしている人に、得手不得手があるのだから、時間がかかるのは仕方がないこ
  とだと言った。

【解説】

 スイミングスクールで成人コースを担当しているインストラクターが求められる役割について考える問題です。成人コースのスクール生であれば、目的は健康維持のため、ダイエット、友達作りなどさまざまで、年齢層も幅広いという特徴があります。そのことを理解した上で問題を考えていきましょう。

 不適当は(5)正答率は19.6%でした。自分が他の人より上達が遅いことを気にしているスクール生に、「得手不得手があるのだから時間がかかるのは仕方がない」などと言ってしまっては、この人を不得手と決めつけてしまっていることになります。成人コースは、年齢や経験、始める目的も違うので、上達の仕方は人それぞれであり、時間がかかる人もいるでしょう。しかし、どんなスクール生でも、励まして上達に導くのがインストラクターの仕事です。「上達の仕方(速度)は人によって違うのだから気にしない」などというのが吉沢さんの役目です。

 では、その他の選択肢を見ていきましょう。

 (1)1.2%。初心者の続けられるかという不安は、技術的なものについていけるかということや、スクールの仲間と一緒にやっていけるかということから感じるものです。初めてのことに不安はつきもの。であれば、「最初は誰も同じ」と言って、不安なのはあなただけではない、他の人も同じであるということを伝えることでその気持ちは解消されるものです。

 (2)43.7%。それ(レッスン時間)以外の時間の過ごし方も重要ではと言ったことが、インストラクターとして無責任であると考えてしまったのか、この選択肢を不適当と選んだ受験者が多かったです。シェイプアップのために通っているスクール生なら、その目的を達成するための効果的な方法なら知りたいと思うものです。であれば、アドバイスをするのもインストラクターとしての役割ということです。

 (3)34.2%。この選択肢を選んだ受験者も多かったです。このスクール生は終わった後のおしゃべりが楽しいのです。スクール生の中にはレッスンよりもおしゃべりを楽しみにしている人もいるでしょう。スクールに通うことが楽しみになっているのですから、適切な言い方ということになります。

 (4)1.2%。しばらく休んだ後は気持ちが乗らないもの。久しぶりにレッスンに来た人であれば、この後も
続けようと思えるような言葉と対応が必要です。みんなが心配していたこと、来てくれてよかったということ
を「元気そうで安心した」と伝えています。タイミングよく掛ける一言が、スクール生にとっては励みにもなるのです。

 インストラクターの役割は、スクール生の体力、技能、目的に応じた対応ができること、そして、それぞれの目的を達成するための手助けであることを理解いただきたいと思います。
(『就職指導ニュース』vol.48より)